⭐︎side -she⭐︎
「んっ」
ああ、まただ
無駄な贅肉などいっさい無いたくましい体軀に組み敷かれ
どこまでも優しい愛撫と、わたしの奥深くで徐々に激しさを増していく動きがもたらす快感の渦に
あと一歩で飲み込まれる、ところまで来て
子ども部屋で眠っている娘の泣き声が聞こえたような気がして、プツンと集中力が途切れてしまった
もちろん
もうすぐ3歳になる娘が夜中に泣き出すことなんて滅多にないし
仮に泣いていたとしても、いろんな
意味で感が鋭い彼が真っ先に気がついてくれるはずなのだから
安心して身を委ねていていいはずの行為に没頭できていないわたしは
いったい、どうしちゃったんだろう
そんなことを考えている間にも
「あっ…」
大きな手のひらで包まれた胸の膨らみと、深く重ねられた唇から伝わる熱がかすかに残っていた快感を呼び覚まし
その時を迎えようとしている彼の甘い吐息に呼吸を合わせて、汗ばんだ広い背中に軽く爪を立てた
わたしの小さなくだらない悩みが
彼に気づかれていないことを祈りながら
※次回に続きます